注文や仕事が立て続けに入ってくる状況は、企業としては喜ばしいはずだ。しかし、働き手を確保することが難しいと、話は少し変わってくる。ヤマト運輸のケースはかなり深刻だ。

 労働人口が減る中で、、ネットショッピングの普及に伴って配達の件数が増えた結果、2016年度のヤマト運輸の取扱個数は18.7億個と前年比8%増加の見通しだ。

 そして、ネットショピング関連の配送契約は、通常の法人契約よりも相対的に割安なものが多い。その結果、ヤマト運輸は仕事が増え続ける一方で利益率が上がらず、その上に労働環境も悪化するという負の循環に陥っている。

 この状況が続けば、職を変えようとする人が増えてもおかしくはない。そうなると、ヤマト運輸は業務をこれまでのように続けることは難しい。従業員が疲労やストレスが原因で、思わぬ事故やミスが発生することもある。人手不足が続く中で企業が持続的な成長を続けるには限界がある。

 こうした厳しい状況に直面する中、ヤマト運輸の労働組合は会社側に宅配荷物の量を抑制することを求め、会社側も応じることになった。このことが報道された2月23日、ヤマトホールディングスの株価は、前日の引け値から約8%上昇し、その後も上昇基調にある。

 これは、市場参加者が、人手不足が進む中でヤマトの利益率が伸び悩み、企業の成長が止まることを懸念していたことの裏返しだ。つまり、ヤマト運輸が経営の新たな課題に対して打開策を真剣に考え始めたことを評価したのである。

 過去10年間のデータを見ると、ヤマト運輸の取り扱う荷物の数は50%増加した。一方、同じ10年間で、宅配便の平均単価は1割下落し、営業利益率も6.0%台から4.8%まで落ちている。

 人手不足が続く中で企業がシェアの拡大などに力を入れ、競争に勝ち残ることは容易ではない。コストを抑制しつつ既存の労働力で人手不足を補おうとするほど、現場には過剰な負担がかかる。その結果、サービスの見直しは不可避になる。すでにヤマト運輸は正午~午後2時の時間指定配達の廃止など、現場への負担軽減を重視した見直しを進めている。